本当に山の素人で、これから始めようという人は、まず初心者向けにやさしく、かつまじめに書かれている山旅メーリングリストの「登山をはじめてみよう」 「山のぼりの技術」「山の道具の選び方」あたり、次に山道具にくわしく、一風変わった視点から山登りを考えられる町内の山の「山登りを始める人へ」 「山道具に関する考察」「登山用具メーカーのカタログ」、最後に女性向けの視点から女性のための登山学校 の3つを個人的におすすめします。素人だったらこんなとこ読んでないで、そっちにいってらっしゃーい・・・
というだけなら、単なるリンク集です。そういったサイトや本を読んでいる、もしくはこれから読むという前提で、大胆にも初級者のボクが、初級者なりに関西風な山登りの始め方を説明します。ちなみに、ここを読んだがゆえに痛い目にあったとかいうことがありましても、ごめんなさいと謝る以上のことはできませんので、ご了承くださいませ。
ここでは、そういったサイトや本であまり書かれていないことを断片的にお伝えするものであり、体系的でないこともご了承ください。
と、こんだけ書いとけば、まあいいだろうということで始めます。
この関西風山登りの始め方の対象者は、ボクと同じく1人で、もしくは素人同士で山登りを始めようという方です。
上記にあげたサイトでも、とりあえずこういうものは必要と書かれています。で、そっちを信用してほしいんですが、 しかし、東京の高尾山登るのにそんなもんが必要かというと、なくても構わないんですよ。 あった方がいいですけどね。実際登ってみると、そんなもん持ってない人なんかいくらでもいるし、 下手するとヒールの靴はいてる女性だっている。そんな人が多いから自分も大丈夫というわけ ではないんですが、とりあえず山登り始めてみようか、と思っている人にあれも買えこれも買えとは いいにくい。実際に登ってみて、自分にとってお金かけてもいい趣味だと思えるなら、それから そろえればいいと思う。ボクもそうだったし。実践編で実際のステップアップのしかたは説明します が、とりあえず東京の高尾山クラスから始めるとして、必要なものは次のものです。
・ 水1〜1.5リットル(高尾山なら頂上で買うのもあり。でも途中でのど渇きますから、絶対に飲み物を持とう)
・ 汗ふき用のタオル(結構汗かきます)
・ 着替え用のTシャツ類(たぶん下山してから濡れたTシャツが気になります)
・ 防寒具1枚(頂上についてから寒くなるかもしれん)
・ 折りたたみ傘か雨合羽(持ってるヤツで。でも雨が降りそうなときはやめとくこと)
・ おにぎりとかお弁当とかの昼食(ボクはごはんものが好きだ)
・ これらが入るカバン(肩から背負うリュック形式のものがラクだけど、あるもんで)
・ 運動靴(革靴の人もいて、まあ大丈夫ですけど、思ってるより汚れますよ)
というわけで、要するに持ってるもんでなんとかなる。でもこれが通用するのは、東京の高尾山 クラスですよ。高い山に登るときにこれを適用してはいけません。
特別な山道具は必要ないわけやから、とにかくまずは高尾山(標高599m)クラスまでの低い山に 登ってみましょう。しんどくてもいい、バテてもいい、それでいいんです。こんなしんどいことな んでするんやろ、って山登ってる人は常に思ってるんです。ってボクだけかなあ。登ってみたら しんどくても、頂上に着いたら達成感があるとか、おにぎりがおいしいとか、森林浴で気持ちが よかったとか、下山して体重計にのったら体重減ってたとか、なんか思うところがあるんです。 また、登ってみたいと思うようなら、山登りが趣味になる徴候ですよ。そのうち山道具がほしく なってきます(思ったよりお金かかりますよ)。
ネットや地図や本はなるべく新しいもんを探すようにしましょう。山は豪雨で道が崩れて登山道 が変わったとか、そんなことはよくあることです。10年前の地図とか使うと、あるはずの山小屋が なかったとかトイレがなかったとか、そんなことになります。山道具については、最新のもんを 使え、っていうわけではありません。山道具は今でもどんどん進化して、ものがよくなったり、 快適になったり、軽くなったりしています。なので、とりあえずいろんなもんを買って、必要に なったら使おうという感じだと、使うころになったら、もっといいもんが出てたなんてことにな ります。山道具は必要になってから、新しいもんを買ったほうが最初のうちはいいと思います (でも欲しくなってつい買っちゃうんだ、これが)。
やっぱし、頂上で食べるおにぎりはサイコー!ってことが言いたいわけではないんです。 こんなんどこで食べようと大きなお世話なんですが、要するに12時までに頂上につけ、ということ なんですよ。とりあえず持つべき山道具の1つとして、ヘッドライトがよくあげられます。必要 なんですよ。でも高尾山にヘッドライト持っていってる人がどれだけいるかというと、相当少ない (はず)。でも高尾山でも、夜になるとライトなしではかなりしんどいんです。だったら間違っても 夜にならない時間に下りてくりゃいい。お昼を頂上で食べるようにすれば、こういった低い山なら 2時には下山できるはずということなんですな。その時間なら、なにかあってもほかの登山者も いるし、問題ありません。ヘッドライトなしの条件は午前中に登って、2時くらいには下りられる ことと、道を間違えようがないコースと登山者の多さです。ちなみに高尾山だと午後3時くらいから 登る人がいますが、素人だったら反則です。でも夏にビアガーデンまで登って、ビール飲んで、 ケーブルカーで下りる分にはOKです(人多いよ)。
これはもう本当にそうなんですよ。言うんですよ「全然大丈夫。こわくないよ」とかって。 で、行ってみるとめちゃコワイ。山登りでは、だいたい行ってきた人は「そんなにこわくなかった。 大丈夫」って言うことに決まっているようなんですよ。なんで、ここのサイトにもそんな言葉がある かもしれないですが、信じちゃダメ。最初のうちは、いろんな人の文章を読んで、写真をみて、 ガイドブックの初心者向けとか、そういうのをよくみて登る山を決めましょう。とくに経験者に 連れていかれる場合は要注意。経験者は理由をつけて、結局は自分が登りたい山に連れて行きます から(そしてあなたが経験者になったら、自分の登りたい山に初心者を連れて行くんだ、やっぱし)。
自分より実力も経験もある人と一緒に登るんだったら、実力相応の山に登って勉強になると思うん です。でも、単独だったり、初心者同士だったら、自分の実力より下の、余裕を持って登れそうな山 にしとくべきです。山は、天候や季節、時間などの状況によって難易度は変わります。もしかして本 に書かれているより、難易度が高いかもしれない。自分の実力相応と思われる山だったら、思った より難しい山なら実力以上の山ということですよ。というわけなので、思ったより難しい山だった としても、それで実力相応の山になる程度の山に登るべきです。ちなみに「思ったより難しかったら、 引き返せばいいじゃん」という関東風な考え方は、山は登りよりも下りのほうが格段に難しいという ことに打ち砕かれます。登りはなんとも思わなかったのに、下りでコワイというのはよくある話です。 下りでは引き返せないんです。もう登っちゃってるからね。ここは「実力相応の山には登らへん」 と関西風にいきましょう。関東風関西風の違いは語尾だけちゃうの、というツッコミは聞こえない ことにするんである。
山には山小屋でもない限り、ほとんどトイレがありません。なので女性はもちろん、男性でも
大きな問題です。登山者はしたくなったらどうしているのか? もちろんトイレがあるところですま
せるのが基本です。登山口なり、バイオトイレのある山小屋なり、そういうところですませるのが
環境に影響を与えない方法です。ですのでできる限り、そうするのが基本ですが、それではすまない
場合も当然あるわけです。じゃあそういうときはどうするのか?
もちろん、山の大自然の中でやっちゃってます。そんなんできひんわ、って思うかもしれませんが、
山では登山道以外に人はいませんから(たぶん)、登山道から見えないところまでいってするわけ
です。それは若い女性でも一緒。山は木も多いですし、比較的隠れるところは多いです。連れの人に
見張ってもらうか、1人の場合は登山道から見えるところにザックを置いておけば、地形を見て
たぶんトイレだな、と思ってくれるはずです。ちなみにトイレが近くならないように、水分を控える
というのはやめといた方がいいです。山登りのときは相当水を飲んでも、汗で出て行きます。
水を控えると、脱水症状とかそんなことも心配しなければならないので、飲みたいだけ飲んで
ください。トイレが近くならないようにするには、酒はもちろんですが、お茶類なども利尿作用が
あるので、お茶とかではなく水かスポーツドリンクにした方が経験上いいと思います。また、薄着の
ときほど下痢になる確率が高いような気がします。登りではいいんですが、休憩すると汗が冷えて
急速に体が冷えます。それが影響しているのかなあ、とは思いますが、確かなことはわかりません。
ボクの経験上はTシャツ1枚よりも、暑くてもそのうえに長袖を着ているときのほうが下痢になら
ないような気がします。
さて使用したペーパーは持ち帰ります。これは最初はすごく抵抗があるかもしれない。でも残して
おくと山を汚したことになるし、残してきたという心のひっかかりが生まれます。ペーパーは
ビニール袋に入れて口をしばる。それをほかのゴミを入れているレジ袋に入れておけば、まったく
問題ありません。ボクはその方法で困ったことは一度もない。どうしてもそれがイヤなら、ペーパー
を使わず、手で拭く。で、水で洗う。このとき拭く手は左手だ。なのでイスラム教では左手は不浄の
手であり、ごはんを食べるのも、握手をするのも必ず右手と決められている。旅行に行ったトルコ
でもそういう方法のトイレがあった。彼らは個室で水で手を洗い、そのあと洗面所でせっけんを
つけて、日本人なんかよりもびっくりするくらいしっかり丁寧に洗っているという話はここでは
関係がない。
これ、初心者と経験者の間でよく言われてる言葉だと思うんです。でもこれがクセモノ。これが登山 口まであなたの車で載せてってとか、電車やバスで登山口まで、という意味なら別にいいんですよ。 問題は初心者が、自分はその山よく知らないからとか、自分1人では危ないから、という意味合いで 使われるケースです。はしょって説明するんですが、山で初心者の事故が起きた場合、経験者が「そ のことを予見できた」場合には賠償責任を負わされる可能性があります。しかも100万円や200万円や ないですよ、1億円を超えるような額が実際に起こっているんです。山岳保険でも、賠償責任の額は1 億円が設定されているものが多いです。つまりそのくらいの額になる、もしくは以上になるっていう ことですよ。1人とは限らないですからね。初心者が落ちて、そのほかの人も巻き添えにしたってケ ースも考えられるわけですから。本人にその気がなくても、賠償金が取れるよ、と、そそのかされた 家族などが、その人に裁判を起こす可能性があるんですな。で、「連れてって」なんていうことを言 うと、もしくは文章で残しておくと、経験者がリーダーであり、初心者がそのメンバーということに なってしまいます。要するに、初心者が起こす事故について経験者に責任とって、と、ひどい負担を 強いていることになるんです。ですから山岳会などでは、事前にリーダーを決めて、山行計画書を 提出させて大丈夫かどうか慎重すぎるほど検討するそうです。面倒くさいですけど、そういうことを よくわかっているからなんですな。ですから、初心者であっても、その山が自分にとって行ける山か どうかは、自分で判断しなければなりません。というけで、経験者に「連れてって」と言ってはいけ ませんし、自分より初心者の人に「連れてって」と言われてはいけません。「連れてって」と言われ たときには、普通にいっしょに山に行くだけのときには、経験年数に違いはあっても、いっしょに 行く人と自分の関係はリーダーとそのメンバーではなく、あくまで同等のメンバーである、という ことを確認しておくことです。どこの山にどのルートから登って下りるのかを知らせて調べてもらう こと、予期される危険(岩場とか沢とか落石とか)、雨具や非常食などの基本的な緊急用品などを 伝えておく必要があります。面倒くさいですね。「連れてって」という言葉はよく使われるんですが、 ホント罪深いです。そういうつもりがないのはわかるんですけどね。あくまで自己責任ですから、 自分でよく調べて、自分の実力を考えて「いっしょに行きましょう」くらいにしといてください。 ま、ボクは登山口まで連れてってくれるとありがたいですけどね。
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